2025年6月30日月曜日

【備忘録】NTT株(9432)を買う理由と、あえて残しておく懸念点


~5年後の自分へ。この判断をどう思う?~


なぜ今、NTT(9432)株を買おうと思ったのか

正直に言って、NTTは「夢がある銘柄」ではない。
だけど、現時点での自分の投資方針――つまり、「5年後に売却を前提とした長期保有」「大きなリターンよりも安定感と中リターン」を重視するなら、この銘柄はわりと理にかなっていると思っている。

以下が、NTTを買おうと判断した理由だ。


✅ 買おうと思った理由(ロジック)



① 配当利回りが高くて安定

現状で3.5%以上。今後も大きな減配の可能性は低い。
銀行預金で寝かせておくくらいなら、これに変えておくだけで複利的に効いてくる。

② 財務が圧倒的に健全

自己資本比率は94%以上、ROEも10%超え。
「潰れないインフラ企業」という観点では、まさに日本の中核。

③ 成長の“種”はちゃんと蒔いている

IOWN構想(光電融合)やデータセンター事業、クラウド・AI通信網など、5年後に花が咲いていそうな分野にもちゃんと手を出している。
「オワコン通信キャリア」ではない。

④ 株価が加熱していない

チャート的に見ても、高値圏ではなくレンジ中間(151円前後)で、買いやすいタイミングだと思う。
ゴールデンクロスも出ており、下値は限定的に見える。


❗買う前にしっかり残しておく懸念点



① EPSと利益が微妙に右肩下がり

営業利益率がやや落ちてきており、成長企業としての“勢い”はない。
株価が上がりにくい、という可能性は頭に入れておく。

② 通信ビジネスそのものが成熟市場

ドコモ含めた国内通信キャリアは、政府の値下げ圧力・競合・利用者数の頭打ちという三重苦。
「防御型」ではあるが、「攻撃力」は弱い。

③ 世界と比べると技術競争力に不安あり

Google、Amazon、Starlinkなどが脅威として台頭してくる中、NTTが世界的に勝てるのかというと…微妙。
国内で安定していても、グローバルでの伸びは期待しにくい。

④ 株価が5年間ほぼ横ばいの可能性

配当再投資を加味すれば損はしにくいが、大勝ちはたぶんしない
自分の投資スタイルが「攻めたい5年」なら、この選択は正直、物足りないかもしれない。


最後に:自分へのメモ



2025年6月末、この銘柄を買うことにした。
理由は「負けにくさ」と「それなりの収益性」が両立していたから。
"爆益"ではなく、"堅実"を優先した。

5年後の自分へ:

  • この選択は正しかったか?

  • 配当はどう推移した?

  • 株価はどのタイミングでどんな動きをした?

  • NTTという会社は、5年間で何か大きく変わったか?

  • 「もっと良い選択肢はあったのでは?」と過去の自分を責めたくなったら、その理由も含めて残しておけ


保有戦略

  • 【保有期間】:2025年6月〜2030年6月を目安

  • 【購入方針】:即買いではなく、数回に分けて買う

  • 【追加投資】:株価が135円台に来たら追加検討



2025年6月27日金曜日

日本の医療費はどれだけ多いのか?制度の持続可能性と欧米との比較


はじめに:医療費ってそんなに多いの?

「医療費が国家予算のかなりを占めている」とはよく聞きますが、具体的にどれくらいかご存知でしょうか?

実は、日本の一般会計において「社会保障関係費」が最大の支出項目となっており、その中でも「医療費」は非常に大きな割合を占めています。

この記事では、以下のポイントを明らかにします。

  • 医療費の実際の割合

  • 他の歳出との比較

  • 欧米との医療文化の違い

  • 将来を見据えた制度改革の可能性


社会保障費における医療費の位置づけ

2025年度(令和7年度)の国家予算ベースで見てみましょう。

  • 一般会計総額:約115兆円

  • 社会保障関係費:約38.3兆円(全体の約33.2%)

その社会保障関係費の内訳は以下の通りです:

  1. 年金:約40.5%

  2. 医療:約35.4%

  3. 福祉その他:約24.2%

つまり、単純計算で医療費は国家予算全体の「約11.8兆円」程度。年金に次いで、非常に重たい支出です。


他の支出との比較

社会保障費の次に大きいのは以下のような項目です。

  • 地方交付税交付金等:約18.9兆円(約16.4%)

  • 防衛関係費:約8.7兆円(約7.5%)

つまり、医療費は防衛費の約4.5倍という規模になります。


欧米との文化的な違い

欧米では、以下のような理由から「病院にあまり行かない」という文化が根付いています。

  1. 予約が取りづらい

    • フランスでは風邪程度だと「3日後に来てください」と言われることも。

    • ドイツではかかりつけ医を通しての予約が基本。

  2. 医療費が高額

    • アメリカなどでは保険があっても自己負担が高いため、軽症では受診を避ける傾向があります。

  3. 薬剤師の活用

    • 軽い症状なら病院ではなく、まずはドラッグストアの薬剤師に相談するのが一般的。

    • カナダやオーストラリアでも薬剤師が適切な市販薬を勧めてくれる仕組みがあります。


日本の課題:気軽に病院へ行けることの影響

日本は「誰でもすぐに病院に行ける安心感」がある一方で、それが過剰受診や無駄な医療費につながっている可能性も否めません。

たとえば:

  • 湿布やビタミン剤をもらうためだけの受診

  • 市販薬で済むはずの風邪での外来

これらが積み重なると、医療資源の分散や、本当に必要な医療へのアクセスを圧迫することにつながります。


予防医療・健康診断の活用がカギ

欧米型の仕組みで注目すべきは、単に「病院に行かない」ことではなく、その代わりに「予防医療」が発達している点です。

  • 定期健診の徹底

  • 薬剤師や看護師の役割拡大

  • デジタルヘルスやAIによるスクリーニング支援

こうした取り組みによって、結果的に医療費全体を圧縮しつつ、重症化を防ぐ体制を構築しています。


医療制度は変えられるのか?

医師会の存在や国民の意識、制度の複雑さなど、改革を阻む要因は多いのは事実です。しかし、次のような視点を持つことで、制度の見直しは不可能ではありません。

  • 本当に必要な医療への資源集中

  • 軽症・慢性疾患の自己管理支援

  • 医療以外の社会的コスト(例えば介護や精神疾患)とのバランス調整


おわりに:これからの医療をどう考えるか

「安心して医療が受けられる社会」はもちろん必要です。しかし、過剰に頼りすぎると制度が持たなくなります。

日本が目指すべきは、「本当に必要な医療を、必要な人に、必要なタイミングで届ける」こと。そのためには、予防・分散・効率化の3点を軸に、医療の在り方を再構築していくことが求められます。



インド人は本当に“嘘つき”なのか? その誤解、文化から解きほぐす



はじめに:なぜインド人は「信用できない」と思われがちなのか?

「インド人は嘘をつく」

ビジネスやITの現場で、こんな声を一度は聞いたことがあるかもしれません。実際に「できると言ったのに、後になってできないと言われた」「納期を守らない」「言うことがコロコロ変わる」と感じた経験から、そうした印象を持った人も多いでしょう。

しかし、それは本当に“嘘”なのでしょうか?

この記事では、「インド人=嘘つき」というレッテルがどこから来たのか、そしてそれが単なる文化的誤解に過ぎないことを解き明かしていきます。


「嘘」と「柔軟さ」は紙一重:インド人の"Yes"の真意

日本人が「嘘」と感じてしまう最大のポイントは、インド人がよく口にする「Yes」や「できます」のニュアンスです。

インドの文化では、まず「できる」と言って前向きな姿勢を見せることが大切とされています。なぜなら、チャンスを逃さないため、相手に良い印象を与えるため、そして関係性を円滑に進めるためです。これは「嘘」ではなく、「ポジティブな可能性を示している」と言ったほうが正確でしょう。

一方、日本人は「できる」と言えば「責任をもって完遂する」ことを前提にしているため、「やっぱりできなかった」となると、裏切られたように感じてしまうのです。


調和と対話の文化:インド的“空気の読み方”

インドでは“その場の調和”をとても大切にします。日本のように「空気を読む文化」がある一方、インドの場合は「場の対話を気持ちよく進めること」が重視されます。その結果、相手に合わせて少し話を盛る、断言を避ける、柔軟に答えを変える、といった対応が一般的になるのです。

これが日本人の目には「一貫性がない」「信頼できない」と映るのは無理もありません。


時間感覚の違い:「守らない」のか「緩やか」なのか

納期や予定についても、「時間の厳守」が絶対的価値観である日本人にとっては、インド人の“ゆるやかな時間感覚”は大きなストレス源です。

ただし、これも「無責任だから」「嘘をついているから」ではなく、時間に対する捉え方そのものが違うから。インドでは「状況に応じて柔軟に動くこと」が尊重される傾向があり、それが予定変更や曖昧なスケジューリングにつながっているのです。


背景にある宗教・哲学的価値観

ヒンドゥー文化には、運命やカルマ、流れの中で最善を尽くすという思想があります。「今この瞬間にベストを尽くすこと」が優先されるため、未来のことを断言するのが難しい、あるいは避けるという傾向もあるのです。

「できる」と言ったときの“できる”は、「その瞬間の最善の努力を約束する」という意味合いを持つことすらあります。


日本人が“誤解しやすい”4つのポイント

以下が、特に誤解の温床となる文化差です:

  1. 前向きな“できる”が誤解を生む:実現可能性よりも関係性を優先する。

  2. 場の調和重視で意見が変わる:相手を否定しない=柔軟に同意する姿勢。

  3. 時間は守るより調整するもの:変更は悪ではなく「最適化」。

  4. 未来は“断言しない”ほうが誠実:ヒンドゥー的世界観の影響。


まとめ:「嘘」ではなく「価値観の違い」

結論から言えば、「インド人は嘘をつく」というのは日本人的な価値観を基準にした場合の誤解にすぎません。彼らの多くは、むしろ誠実であり、前向きで、柔軟であろうとしています。ただ、その「誠実さ」の表現方法が日本と違うだけなのです。

だからこそ、我々が「嘘だ」と決めつける前に、その背景にある文化・価値観の違いを知ることが、より良い国際的コミュニケーションの第一歩になるはずです。


最後に:視点を変えるだけで世界は変わる

もしあなたが「インド人は嘘つきだ」と感じた経験があるなら、その時の会話や状況を思い出してみてください。それは本当に「騙された」のでしょうか?それとも、文化の違いを見誤っただけかもしれません。

誤解は視点から生まれ、理解は視点の切り替えから始まります。